AUTO SPORT VS 童夢。

来年のF4について、ネット上で、AUTO SPORTの有冨さんと、童夢の林さんとの間で
熱い議論が交わされています。


事の発端は、AUTO SPORT側のこの記事からでした。


2010年のF4はホントに大丈夫か?


詳細は記事を見てもらうとして、要約すると・・・


・来年のF4は、今までのアルミハニカムモノコックに加え、カーボンモノコックの使用が可能になる。
・現在はアルミハニカムモノコックの中古車が多数あり、比較的、低コストで参戦することが出来ている。
・アルミハニカムとカーボンのマシンが混走となるが、カーボンの車でしか勝てなくなると
 参戦チーム、ドライバーはカーボンの新車を買わざるをえない。
・新車を買うことが出来ないチーム、ドライバーは撤退、または参戦してこないので、
 参加者の減少に繋がり、あげく、レースが成り立たなくなる可能性がある。


とこんな感じです。
で、なぜ、この記事に対して童夢の林さんが出てきたかというと、カーボンモノコックのF4マシンを
童夢などの日本のレーシングカーコンストラクターが集まって出来た「日本自動車レース工業会」が
作製すると表明しているためです。


その後のやり取りは以下の記事を参照してください。
拝啓、「AUTO SPORT」様 童夢
林みのるさんから質問状を頂きました AUTO SPORT
早速のご回答、ありがとう。 童夢
F4について貧乏人はこう考えた AUTO SPORT


それぞれ、言わんとしていることはわかります。
ただ、有冨さんはドライバー(もしくはチームなどの車両購入側)の立場で、
林さんはコンストラクター(車両を売る側)の立場で論じられています。
お二方の論じている立場が異なるために、話がうまく噛み合ってないように見えます。


でも、これは難しい問題ですねぇ。
ドライバーとしては、少しでも安い金額で勝てる体制が整えられるカテゴリーで、
なおかつ盛り上がっている(参加台数の多い)カテゴリーに参戦したいと思うでしょう。
F4というカテゴリーは、上位カテゴリーへのステップアップを目指す人が参戦する
カテゴリー(中には趣味として出ている方もいますが)で、若手ドライバーが
多いカテゴリーです。
しかし、F4が新車を購入しなければ勝てない状態となると、
フォーミュラチャレンジジャパン(FCJ)のが参戦金額がかなり安い(半額近い)ということになり、
加えて注目度も高く、ステップアップもF4よりしやすい環境なので、FCJに参戦出来るのであれば
そちらの方が良いように思えます。
まぁ、FCJの方は、誰でも参戦出来るというわけではなく、ある程度の実績が無いと出れないので、
実質、カート上がりで、メーカーサポートのドライバーくらいしか出られないのですが。。。


コンストラクターとしては、車を売って、利益を出さなければいけません。
開発にもかなりの金額がかかっているであろうし、それなりの台数が売れなければ赤字に
なってしまいます。
現在のF4のように、中古車の流通が活発な状態では、コンストラクター的には利益が無い状態でしょう。
(補修、交換用のパーツ販売での利益程度かな)
新車を売るためには、それまでのマシンよりも性能を上げなければ売れないし、
競合他社よりも売るためには、(金額も含めた)レギュレーションの範囲で出来る限りの性能を
持ったマシンを開発するはずなので、昨年以前の中古車より速くなるのは当然と言えます。


有冨さんの主張する、参戦コストが跳ね上がって、参戦するドライバーが減少し、
結果、カテゴリーが衰退、そして最悪消滅するのでは?と危惧するのもわかるし、
林さんの主張する、古いマシンが使われ続けるのは技術進歩が無い状態で良くない、
ドライバー育成だけを考えるのではなく、コンストラクターを始めとした日本のレース産業の
発展を考えるべきというのもわかるので、難しいよなぁ。
参戦者が減れば、車も売れないわけだし。


今回の問題は、F4に限った話では無く、他のカテゴリーでも同様の可能性は
あるわけだけれど、最近は上級カテゴリーも含めて、ワンメイクがほとんどだからね。
ワンメイクだと、みんなが同じマシンを買ってレースするわけで、
マシンの性能差は無いからこのような心配は出てこない。


さて、来年のF4開幕戦、そして一年が終了して2011年の開幕戦でどのような状態となるかが
楽しみですね。